月の雫 -君と歩む彼方への道-
珍しくそんなやさしげなことを言うと、容姿もあいまって、まるで天使みたいだ。


っていうか、”恐怖を取り除いてみた”って、ずいぶん簡単に言うんだな。

天才だろこいつ。


「そして、”元いた場所に帰る”ように言ったら、消えていった」

「……死のイメージであっさり倒さなかったのはどうしてなんだ?」

「心を覗いたら、何だか哀れになってな」


ちょうど席に着きながら、シルヴァイラはぽつりと言った。


「それに、あればっかり使ってると、何だかくせになりそうで、怖いんだ」



(くせになる?)




「次。レイジュラ」


ちょうどそのとき。

第一階級の名前が呼ばれて、あたりは少しざわめいた。
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