月の雫 -君と歩む彼方への道-
「……だったら何だ」


かすれた、細い声。


――シルヴァイラだ。



(……?)


そっと首を上げて声の方を見てみると。

フードが少し上に持ち上がって銀の髪がこぼれ、誰かを見上げているようなのが見えた。


視線の先には……



レイジュラの黒い謎めいた瞳。



(なんだ、あの二人、こんなところで)



オレはとっさに気配を消した。


気配を消すことだけは、得意中の得意なんだ。


これだけは、多分研修生一だと思う。

オレが本気で気配を消せば、じいさん以外は誰も気づかない。
< 127 / 288 >

この作品をシェア

pagetop