月の雫 -君と歩む彼方への道-
それに、妻だって?


シルヴァイラが女だとはいえ、そんな風には思ったことがなかったオレは、心底面食らった。



だって。

冷血でそっけなくて扱いにくい、およそ女とは思えないようなヤツだぞ。


いくら天才だと言ったって、妻だって?


オレの心臓がなぜかドクドク言い出した。



レイジュラ、オレのシルヴァイラに何する気だ。



(――オレの?)



違う違う、オレのペアの、だ。



「こっちが頼んでもいないのに、”してあげる”とは、ずいぶんな自信家だな」


相変わらずの冷たい物言いに。

レイジュラは、肩をふるわせて、くっくっくっと笑った。
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