月の雫 -君と歩む彼方への道-
にしても、レイジュラに自信があるのは当然だ。

唯一の第一階級を与えられるくらいの魔道士としてのレベルに加え――

レイジュラの家系は位の高い貴族だ。


裕福で、大きな家に住み、美しい容姿を与えられ……


何もかもが輝かしいレイジュラ。

神に愛された男。


願うものはすべて手に入るだろう。



願うものは、すべて――




オレのとどまらない思考を、つっけんどんな声がさえぎった。


「ぼくは別に、ここを追放されてもかまわない。

そんなくだらないかけ引きで、ぼくを動かそうとするな」


冷たい、かすれた、しかし、きっぱりとした声。
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