月の雫 -君と歩む彼方への道-
「そんなこと無理だって、わかってるんだろ、本当は」

「……」

「生き物はみんな、死んだら輪廻していくんだから。

肉体はほろびても、魂までほろびるわけじゃない。

死んだ村の人たちも、とっくに輪廻して別の生き物として転生してるよ。


それがこの宇宙のことわりだ。

それを逆行させることは、いくら魔道士でもできないし、やっちゃいけないことだよ」


「……わかってる。

わかってるたら、そんなことは。

いまさらおまえに言われなくても。


それでも、ぼくは……」



胸が押しつぶれそうな声が、ほんのり色づく唇から漏れた。
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