月の雫 -君と歩む彼方への道-
「それにしてもさ、シル。

オレの前では”ぼく”っていうの、やめろよ」

「……なぜ?」

「もしかして、知らないのか?

ぼくって、男が使う一人称なんだ」

「……そうなのか。

じゃあなんて言えばいいんだ」

「わたし、かな」

「わたし、って、レイジュラだって使うじゃないか」

「……まぁ、何でもいいや」



暗がりの中で。


オレはシルヴァイラの横に体を横たえて、傷だらけの白い体にそっと手を回して抱き寄せた。

傷だらけの白い肌が月夜に照らされて、青白く静かに光っていた。
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