月の雫 -君と歩む彼方への道-
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案の定、集会後にオレはじいさんに呼び出しを食らった。


しぶしぶ重い扉を開けると、じいさんはいつものようにどっかり椅子に座っていた。

窮屈そうな椅子に。


「何だよ、じいさん」

「遅かったな。

……おまえから来ると思ったがな」


じいさんはそうつぶやくと、オレに空いた椅子を指し示す。


(じいさんはやめなさい、って言わなかったな)


いつも絶対に言うのに。




オレが座るか座らないかのうちに、じいさんは切り出した。


「シレン。

おまえ、いったいどうしたんだ。

一体何があった?

ひどく……状態が悪いぞ。

そのうち回復するだろうが……自覚はあるだろうな?」
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