月の雫 -君と歩む彼方への道-
シルヴァイラのことを、あの男が理解できるか?

シルヴァイラを自己の欲のために手に入れて、支配しようとしてるあいつが……


「じいさん、それは、ちょっとマズ……」

「これは決定事項だ」


オレの言葉をさえぎって、断固とした口調でじいさんは言い放った。

茶色い深い瞳が、さぐるようにオレをじろりと見る。



(そんな……)



二の句が告げないでいるオレに、じいさんは指先で退席をうながした。





(ぼくはおまえなんかに……興味はないんだ)


シルにあんなことを言われようが。

そばにいるだけでよかった。


そばにいて、あいつの苦しみを少しでも癒してあげたかった。
< 179 / 288 >

この作品をシェア

pagetop