月の雫 -君と歩む彼方への道-
今やあいつは、オレ自身だったから。



これまでの暗い人生を苦しみ抜いてきたあいつの心の安らぎを、オレは今や心から願ってた。

何とか、心の平安を得て、幸せになってほしかった。


……難しいだろうけど。



せっかく、あいつの苦しみが少し理解できるようになったのに。


なのに、ペア解消だなんて。




(おまえに死んでほしくなかった)


涙を流してそう訴えるシルの姿が、まぶたの裏から消えなかった。



別にオレのことを好きじゃなくてもいい。



うとましく思ってさえいなければ――
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