月の雫 -君と歩む彼方への道-
――だめだ。



こいつ、オレと関わりあう気、ゼロだ。



順調だった研修生活に、にわかに暗雲が立ちこめる……。




「……なぁ、おい」


もう一度説得しかけようとしたとき。



不意にそいつは手をあげて、フードを少し持ち上げた。

袖口から、ひどく細い手首をちらりと見せて。


きらきら光る銀の髪にふちどられた、白い顔がフードの陰から浮かび上がる。

鋭い金色の目が、じろりとオレを見上げた。




(うわ………)



オレは思わず言葉を失って立ち尽くしてた。
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