月の雫 -君と歩む彼方への道-
……ったく、自分が天才だからって、自分と一緒にするなよな。


オレは平凡な人間なんだ。

おまえみたいな天才じゃないんだよ。


(何をぶつぶつ言ってる)


不意にまた頭の中で声がした。


うげ。

聞こえてたのか。


(ぶつぶつ言ってないで、ぼくの記憶を共有したときと同じ感じで、相手と自分の区別を意図的に取り払うんだ)



シルヴァイラのかすれ声は、それきり聞こえなくなった。



ちきしょう、スパルタめ!



オレはベッドに寝転がったまま、悪態をつきながら目を閉じた。
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