月の雫 -君と歩む彼方への道-
(何だ?これ)



その壁をよくよく見ると、小さな粒の集合体だった。

ひとつひとつの粒には、何やらいろんな呪文めいたものが詰まっている。



(この呪文みたいなものは一体……?)


心の眼を凝らしてよく見ると。

この呪文めいたものは、どうやらひとつひとつの想念らしかった。



他人は他人。オレはオレ。

オレさえよければいい。

オレが正しい。他人は間違っている。

オレが一番正しい!

オレは人より偉い。

オレは人よりすぐれている。

オレは人より劣っている。

他人を蹴落としたい。

人の優位に立ちたい。

オレをおとしめるヤツはキライだ。

……

……


ひとつひとつの粒たちは、声高に必死で叫んでた。
< 194 / 288 >

この作品をシェア

pagetop