月の雫 -君と歩む彼方への道-
オレは立ち上がると、トカゲ野郎を見上げた。

下からだと、目が見えない。


オレは研修生たちを振り向くと、大声で叫んだ。


「みんな、目をねらえ!

皮膚は固すぎる。

何か鋭いもので目の奥をねらうんだ。


特殊攻撃じゃなくて、物理的な攻撃が有効だ!」


オレはそう叫びつつ、魔道で長く鋭い針をたくさん作りだした。

トカゲ野郎にのみ有効なように、ターゲットを定める。

それを、オレはほとんど当てずっぽうで、ブーメランのように弧を描くようにひたすら投げ続けた。



どれか1つでも、目に当たれ!



オレの声に、魔道士の卵たちの多くが立ち上がって、攻撃に加勢し始めた。

色とりどりの魔法が、一斉にトカゲ野郎に襲いかかる!



ケー ケー


上空で雄叫びとも悲鳴ともつかぬ声をあげて旋回していたトカゲ野郎は、それでも火をがんがん噴いて攻撃してきてはいたが――


誰かの攻撃が弱点を突いたのか、突然羽をがくりと下げた。
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