月の雫 -君と歩む彼方への道-
「……」


研修生たちは言葉も失ったまま、ただただシルと怪物を見つめてた。




やがて。


すっかり大人しくなったトカゲ野郎は、前のやつと同じように、空間にじわじわと溶けて消えていった。



(やっと帰った)


シルのぽつりと言う声。



シルヴァイラはのろのろと立ち上がると、少しうつ向いたまま、とぼとぼと歩いていく。


その灰色の背中は、何だかひどくさびしげで。


まるで葬儀の帰りみたいだ、あれじゃ。




(シル……)



おまえ、戦闘には向いてないな。



オレはふと、そんなことを思ってた。
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