月の雫 -君と歩む彼方への道-

5.ルカ

「お、もう帰ってたのか」


部屋のドアを開けると、ルカがカバンから荷物を出してベッドの上にお店を広げていた。


「ああ、うん」


オレを見上げて、いつもの人なつっこい笑顔を見せる。




例の戦闘研修が終わってから、ルカはじいさんに呼び出された。

そして、”事情でちょっと家に帰る”とだけ言って、数日間ここにいなかったんだ。


その”事情”が何かは、ルカは何も言わなかった。




ルカの陽気な顔を見ながら。


(いびきのことを言おうかな)


オレはついつい考えてた。


言っちゃ悪いけど、ルカのいないこの数日間は久し振りにたっぷり熟睡できたんだ。



シルヴァイラは夜中にひどくうなされてたし、ルカはルカでいびきがすごいし、オレはどうも同室に眠りを邪魔される運命にあるらしいな。


――レイジュラのときは何にもなかったけど。
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