月の雫 -君と歩む彼方への道-
「得意分野を教えろと言ったな。

ぼくにできるのは……心に関することだけだ」


「……心に……関することだって?」


補助系の魔道のことか?

それとも、精神感応か?


だったらこの国では珍しいな。

この国には、精神系の魔道の使い手はほんのわずかだ。


「ぼくのできることが魔道だと言われたのはつい最近なんだ。

……だから、分野と言われてもよくわからない」


冷たい感情のない目でオレをちらりと見る。

血の通わない金属のような瞳。


「じゃあ、何ができるのか、一度見せてくれ」


そう言ったオレに。
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