月の雫 -君と歩む彼方への道-

1.決闘さわぎ

「こらっ!飛ぶな!」


そのとき、またしても資料を窓から撒き散らしたオレは、ひらひら舞う資料に怒鳴り散らしてた。

運悪く風のある日で、紙っぺらは盛大に散らばりやがって、オレはひーひー言いながら必死で駆けずり回ってた。




(レイジュラの魔道士姿、立派だったなぁ)


腰をかがめて資料を拾い集めながら、ふとそんなことを思う。



今日の集会で、レイジュラは魔道士資格を与えられ、研修所からの卒業を告げられたんだ。

普通なら2年かかるところを、レイジュラは1年半で終わってしまった。


本当はもっと短くてもよかったんだろう。



今頃はきっと荷造りをしてるんだろうな。

ここを出たら、うわさ通り、中央の要職に就くって話だ。



(どこまでもエリートなんだな、レイジュラって)


正直なところ、オレはほっとしてた。
< 230 / 288 >

この作品をシェア

pagetop