月の雫 -君と歩む彼方への道-
(くそ。

レイジュラ、おまえ――

わざとシルヴィが女だとばらしたな)



シルヴァイラを研修所にいられなくさせて、自分のものにするために?



「やるのかやらないのか、どっちなんだ?シレン」


口の端を皮肉げにつり上げながら。

優雅なしぐさで腕を上げたレイジュラは、突然手のひらから炎の矢を放った。


(うわっ)


「レイジュラ!

あんたの望みは何だ?」


激しい攻撃を何とかかわしながら、オレはとっさに聞いていた。


こんなことして何になる?


おかしなことに、レイジュラは真剣ですらないように思えた。

どうも本気じゃない。

遊んでるようにしか見えないから。



――それとも、そう見せて実は本気なのか?
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