月の雫 -君と歩む彼方への道-
レイジュラはオレの問いに、整った顔に皮肉な笑みを浮かべて、フンッと鼻を鳴らした。


「別に望みなどない。


そもそも人生など期待するに値しないからな」


「……何だって?」


誰もがうらやむほどの優秀なレイジュラが――


人生に期待をしていない、だって?



思わず動揺したその瞬間、鋭いトゲのようなものが一斉に降ってきて、オレはぎりぎりのところで跳ね返した。

数本が跳ね返せずに、体のあちこちをスパッと切り裂く。


「いっ……」


戦闘研修でわざと怪物をいたぶっていたように。

レイジュラはじわじわオレをいたぶる気らしい。


切り裂かれた傷から、あたたかい血がつつ……と流れるのを感じた。



(シールドを張ったのに……)


ふと見ると、シールドの一部が消え失せていた。

ここからトゲが入ってきたんだ。



(――レイジュラが?)
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