月の雫 -君と歩む彼方への道-
こいつ、もしかして、人のシールドを外せるのか?



「シレン!大丈夫か?」


後ろからシルヴァイラのかすれ声がした。


振り向くと、さっきのとげはきれいにシルヴァイラを避けていたようだった。

レイジュラは、シルヴィを傷つける気はないらしい。


ちょっぴりほっとする。



オレはレイジュラに向き直った。


「こないだの戦闘研修で、戦闘エリアのシールドを外したのは、レイジュラ、あんただな」

「……」


レイジュラはそれには返事をせずに、端正な頬にニヤリと薄い笑みを浮かべた。

その表情が、すべてを物語っていた。


「なぜ、あんなことを?」

「……」

「あれも、あんたにとっては単なる遊びなのか?」


レイジュラは優雅に微笑んだまま、返事をしない。




オレは前を向いたまま、背後のシルに話しかけた。


(シルヴァイラ!

レイジュラはどういうつもりなんだ?


――レイジュラが何を考えてるのか、おまえにも読めないのか?)
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