月の雫 -君と歩む彼方への道-
「いいのか?」


口の端をほんの少しつり上げて。

そいつ――シルヴァイラは冷たい笑みを浮かべた。




(何なんだこいつ)



その不思議な金色の瞳をじっと見ていると。

ふと母さんを思い出した。


髪がゆるやかな巻き毛で長いのが、どこか母さんに似てるからなのかもしれない。

顔はぜんぜん違うけど。




閉じ込めていた記憶。


幼い頃の、深い深い傷。



オレの父さんと母さんは、いつも喧嘩ばかりしていたっけ。


父さんが、酒ばっかり飲んで暴力を振るうから。

――酒さえ飲まなかったら、いい人なんだけど。
< 24 / 288 >

この作品をシェア

pagetop