月の雫 -君と歩む彼方への道-
ある日、いつものようにぐでんぐでんに酔っ払った父さんをたしなめた母さんに怒りが爆発して、父さんは刃物で刺したんだ。


母さんの、胸元を。


ぐっさりと。



――オレの目の前で。




噴水のように飛び出した母さんの赤い血を、オレは決して忘れることができない――



何が起こったのかオレが理解するよりも早く、母さんはぐったりとなって……




オレは………




「そうか、おまえも苦労してるんだな」


ふと、静かな声がした。

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