月の雫 -君と歩む彼方への道-

2.決心

「まさか、女だったとはな」

「……じいさん、本当に気づいてなかったのか」

「……」


じいさんは無言で、老いた目でオレをじっと見上げた。

ちょっと悔しそうにも見える。



あちこちのすり傷・切り傷の手当てを済ませたあと、オレとシルヴァイラはじいさんの部屋に呼ばれていた。



「レイジュラは処分しないでやってくれ、じいさん」

「……」


じいさんはオレをじろりと見上げると、面白くなさそうに言った。


「他の研修生の手前、まったく不処分というわけにもいかん」

「……」

「しかし、おまえがそう言うのなら、最大限考慮しよう」



じいさんは、机を指でコツコツこづいていたかと思うと、しかつめらしく言った。



「シルヴァイラ、おまえもだ。

規則だからな。

女はここに置いておくわけにもいかん」
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