月の雫 -君と歩む彼方への道-
「シレン……」


じいさんは絶句していたが、白いひげの下の口から重苦しい声を何とか絞り出した。


「おまえ、何を……」


「じいさん、オレは何も思いつきで言ってるんじゃないんだ」


オレは、じいさんの老いた深い色合いの目をまっすぐに見て、真剣に言った。


「オレは今まで、”得意だ”というだけの理由で物理攻撃系の魔法の腕をせっせと磨いてきた。

それで別に長年疑問を感じずに来たよ。


だけど……

シルヴァイラと出会って4ヶ月、いろいろあってやっと気づいたんだ。



オレは物理攻撃魔法は確かに得意だ。



……けれど、望んでたことは別なんだって」


「……シレン」

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