月の雫 -君と歩む彼方への道-
1.風の吹く丘で
「本当に行くのか、シレン」
心地よい風の吹く丘で。
風に白髪をなびかせながら、じいさんは、まだ名残惜しそうに言った。
「言ったろ。
もう決めたって」
オレは、にっこり笑ってきっぱりと言う。
オレにはもう一点の迷いもなかった。
「これまでお世話になりました。
ここに来てよかった。
本当にありがとうございました」
オレのかたわらで、シルヴィが深々と頭を下げた。
銀の髪がさらさらと音をたてる。
――こいつが丁寧語を使うのなんて、初めて見たぞ。
「そうだな……
おまえたちは、そういった特性があるのはわかっていた」
じいさんは、目尻にしわを寄せて微笑んだ。
心地よい風の吹く丘で。
風に白髪をなびかせながら、じいさんは、まだ名残惜しそうに言った。
「言ったろ。
もう決めたって」
オレは、にっこり笑ってきっぱりと言う。
オレにはもう一点の迷いもなかった。
「これまでお世話になりました。
ここに来てよかった。
本当にありがとうございました」
オレのかたわらで、シルヴィが深々と頭を下げた。
銀の髪がさらさらと音をたてる。
――こいつが丁寧語を使うのなんて、初めて見たぞ。
「そうだな……
おまえたちは、そういった特性があるのはわかっていた」
じいさんは、目尻にしわを寄せて微笑んだ。