月の雫 -君と歩む彼方への道-
「ただな、研修が最後まで終わっていないことは内緒にしておけよ。

特に、辺境研修をしてないなんて、他の研修生が知ったらことだ」


じいさんは、いたずらっぽくウインクをすると。

おごそかなしぐさで、魔道士の証である立派な紋章をオレたちに手渡した。



「本当に……いいのかよ?」

「ああ、長老の全会一致だ。

おまえたちは十分に魔道士として認められるレベルに達している。


正式な魔道士の資格があれば、おまえたちの旅も何かと便利になるだろう」


じいさんは、ただでさえしわだらけの顔をさらにシワシワにして、顔中で微笑んだ。



長老の全会一致は、じいさんにとって最高の権威なんだ。

何かのときは、いつもこれだ。



「オレもこれで”魔道士”か」


まさかこんなサプライズがあると思わなかったオレは、ついつい紋章を何度もひっくり返して見た。

これを手に持つのは初めてだったからな。


ものすごい反則のような気がするけど、長老がたがそうおっしゃるのなら、オレはどうやら魔道士を名乗っていいらしい。
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