月の雫 -君と歩む彼方への道-
「ありがとうな、じいさん」


じいさんは、嬉しそうにうなずいた。


「シレン。

シルヴァイラ。

人々の数多くの苦しみを受け止めて、もし疲れたら、またここに戻ってくるといい。


おまえたちのような精神魔道の使い手は貴重だ。

そのときはぜひ後輩の指導にあたってほしい。


わしらは……研修所は、いつでもおまえたちを待ってる」


「じいさん……」


オレは感極まって、じいさんにぎゅっと抱きついていた。


「ありがとう、ありがとう、じいさん」


じいさんに抱きつくのなんて、何年ぶりかな。


オレの頬にはいつのまにか、涙が幾筋も流れてた。



そんなオレたちを見て、シルヴァイラはほんのちょっぴり、微笑んでいた。
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