月の雫 -君と歩む彼方への道-
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「シレン。

シルヴァイラをしっかり守ってやれよ」


少し離れたところで馬にエサをやっているシルヴァイラを目を細めて見ながら。

じいさんはふと言った。


「思念ひとつで生死すら左右するほどの力のある子だ。

もしその力が明るみに出ることがあれば、諸外国からその身を狙われる可能性が大いにある」


「……ああ」



それはわかっている。

レイジュラも、シルヴァイラの能力に目をつけた一人だ。


レイジュラにとってそれは遊びの延長で、それほど本気じゃなかったのかもしれないが、いつ”本気”なやつが目をつけるかわからない。



「使いようによっては恐ろしい力だ。

相手国の政治も何もかも、その気になれば思いのままだからな。


容姿もひどく目立つし、人々の口を封じることはできない。

そのうち各国がこぞってあの子を手に入れたがるようになるだろう」
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