月の雫 -君と歩む彼方への道-
ちょっと寂しそうに微笑むと。

さっとレイジュラに顔を向けた。


銀の波打つ髪がふわりと広がって、オレンジ色の夕日を受けてきらきら光った。



「レイジュラ。

お願いします。


……村の人たちに、どうか会わせてください」


「承知した」


レイジュラは二つ返事でそう言うと。


ふっと目を閉じて、両手を広げて祈るように天にかざした。

その形のよい唇が、何かを唱えるように長い間小さく動いた。



すると。


あたりの空気がレイジュラの方にざざっと流れていき……



空間全体が、いきなり、ぐわん、とゆがんだ。



(わわ……なんだコレ)


地面がナナメになったみたいで、平衡感覚がおかしくなる。



(ダメだ、立っていられない……)


思わず地面に両手両ひざをついた、そのとき。
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