月の雫 -君と歩む彼方への道-
頭上に何らかの気配を感じて、オレは顔をあげた。



(うわ……)



レイジュラの頭上にできた、薄い雲のようなぼんやりとした白いかすみの中に。


大勢の人影が見える!



(これは――村人たち?)



かすみの中に見えた人影は。

子どもも老人も、いろんな人がいたけれど。

みな、白い肌と銀や金の薄い輝く髪を持ち、そしてとても美しかった。



「ヴェイル!アビィ!ディーク!ティルダばあさん……」


この揺らぐ空間でも何ともないのか。


シルヴァイラはすっくと立ったまま、次々に村人たちの名を呼んでいた。

絞り出すようなかすれ声で。



「みんな……みんな……本当に……許してください。

ぼくのせいで、みんな死なせてしまった。


みんなのことは、一日たりとも忘れたことはないんだ。

みんな、大好きだった。

みんな、ぼくにとって、とっても大事な人たちだったんだ。


なのに……。

どれだけあやまっても、あやまり足りない。


――ぼくは、どうすればいい?」
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