月の雫 -君と歩む彼方への道-
「そう」

「……どんな?」

「何か……そうだね、何かぽっかり穴が開いてるように感じる」


レイジュラは形のよいあごに長い指をかけて、上品に少し首をかしげた。


「穴だって?」

「補助系のようにガードしているわけでもない。

何だろうね、こういうのはついぞお目にかかったことがないように思うね。


……何か心当たりは?」


(あ)


こないだシルヴァイラにニセの記憶を植えつけられて、また消されたことを思い出した。

その痕跡かもしれない。
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