月の雫 -君と歩む彼方への道-
「あいつ……ちっともオレに打ち解けてくれないんだ。

基本知らんぷりだしさ。

今日の昼も食堂で会ったから、これがうまいよって言ったら、”誰もそんなの聞いてない”だってさ」


オレは口をとがらせた。


「万事がそんな調子なんだ。

あいつとこれから仲良くやっていける自信がないんだよ、オレには」

「うむ」


じいさんは深々とうなずいた。

予想の範囲内、ってな顔してる。


かと思うと、身を乗り出してオレの目をまっすぐに覗き込んだ。


「なぁ、シレン。

わしがおまえをあの子のペアに推したのは、おまえの精神魔道の素養の高さからだ」


きっぱりと言う。
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