月の雫 -君と歩む彼方への道-
「そんなこと……言われても」


素養って何だよ、一体。


そんなオレの心のつぶやきが聞こえたのか、じいさんは続けた。


「精神系の魔道には、相手に対する高い感応力が必要だと言われている。

相手と自分が混じってしまうくらいの、強い、な。


レイジュラは確かに魔道のレベルは非常に高い。

が、あの男は何もかも、非常に恵まれた育ちだからな。

自分中心に世界が回っているようなもので、下々の人間の心に感応しようなんざ、発想すらないだろう」


じいさんは、つぶやくように言った。


超のつく優等生のレイジュラのことをじいさんがそんな風に言うなんて。

内心オレは面食らってた。
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