月の雫 -君と歩む彼方への道-
「さ、さっさと背中出せってば」


しつこく言い続けるオレに、シルヴァイラはしぶしぶ向こうを向いて服の胸元を緩めた。


白い、細い背中がつるりと顔を出す。



「うわ……」


出てきた背中を見て、オレは思わず言葉を失った。



何だこれ。


白い背中にびっしりと、無数の傷あと、あざが埋め尽くしていた。

短い傷やら、長い傷やら。

深い傷、浅い傷。

打撲のような多くのあざ。


肌が抜けるように白いだけに、数々の傷あとがいっそう無残だった。


よく見ると、その傷は肩から腕の方まで続いている。
< 71 / 288 >

この作品をシェア

pagetop