月の雫 -君と歩む彼方への道-
「……だから言ったのに」


シルヴァイラは、ハァ、と小さくため息をついた。


「これだから手当てはいらないって言ったんだ」


シルヴァイラは、首から上だけオレの方を振り返った。

きらめく金の瞳がじっとりとオレをにらみつける。


「おまえの記憶を消すのは面倒なんだ。

何回もさせるな」


……何回もだって?


「何回も?」


「これで4回目だ。

もううんざりだ」


シルヴァイラは冷たい目でじっとりとオレを見上げた。
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