月の雫 -君と歩む彼方への道-
心さえとらわれてはいけない。


思わずぶんぶん首を振る。



「つーか、女なのにどうしてこの研修所に入れたんだ!?」

「毎回同じことを聞くな」


毎回聞いてるのかオレは。

つっても、オレは覚えてないぞ。

人の記憶勝手に消すな!


「ぼくも自分が”女”だなんて、長いこと知らなかったんだ。

それに、ここの魔道の基準は満たしたはずだ。

文句を言われる筋合いはない」


突然、すねたように口をとがらせて。

シルヴァイラはつぶやく。


「シルヴィ、おまえ……

どんな人生送ってきたんだよ、これまで」
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