月の雫 -君と歩む彼方への道-
「わしがあの子を見かけたのはな。
ここから南へ行く途中の、ある少数部族の村だった。
ちょうど村で一服しているときに、通りであの子を見かけたのだ。
あの子は乞食同然だった。
ぼろをまとって、家もなく、あてどもなくさまよっていたらしい。
あの金の瞳と銀髪は、その部族ではどうやら悪魔のように思われていたようでな。
あの子は大勢の子どもたちに囲まれて、石を投げられていた。
服には、それはそれは、あちらこちらに血がべっとりとにじんでいたよ」
「……」
「ひと目で、強大な魔力の持ち主だということがわしにはわかった。
石が当たらないように跳ね返すことなど、わけもないことのように思えた。
なのに、あの子は石が当たるままにして、ただ体の痛みに耐えていた。
何の抵抗もせずにな。
その村を出もせずに」
ここから南へ行く途中の、ある少数部族の村だった。
ちょうど村で一服しているときに、通りであの子を見かけたのだ。
あの子は乞食同然だった。
ぼろをまとって、家もなく、あてどもなくさまよっていたらしい。
あの金の瞳と銀髪は、その部族ではどうやら悪魔のように思われていたようでな。
あの子は大勢の子どもたちに囲まれて、石を投げられていた。
服には、それはそれは、あちらこちらに血がべっとりとにじんでいたよ」
「……」
「ひと目で、強大な魔力の持ち主だということがわしにはわかった。
石が当たらないように跳ね返すことなど、わけもないことのように思えた。
なのに、あの子は石が当たるままにして、ただ体の痛みに耐えていた。
何の抵抗もせずにな。
その村を出もせずに」