月の雫 -君と歩む彼方への道-

2.伝授

個別研修が終わったのか、オレたちの研修と合流したシルヴァイラは。

相変わらず人と関わろうとせず、いつも窓際に腰掛けて、ぼんやりと外を見ていた。

いまやトレードマークになったフードを深々とかぶったまま。



それに、研修内容にもさして興味があるようにも思えなかった。


研修は、個人の特性や希望に応じて、長老たちが決めたカリキュラムに従って受ける。

今日の研修は軍の組織や、軍の戦闘時の体制の話だから、シルヴァイラに関係があるようにも思えなかったし、興味もなさげだ。




みんな、シルヴァイラの存在は気になるけど、あいつの周りに張りめぐらされた冷たい壁のおかげで、誰も話しかけようとしない。


あの話しかけにくい、周囲をシャットアウトした、石のような雰囲気。

まるで、石垣でもあるみたいに思える。
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