月の雫 -君と歩む彼方への道-
本棚に囲まれた、広いけど質素な部屋。

しわだらけの手でオレに椅子をすすめる。


「あいつ、だって、最初の研修も済んでないんだろ」

「個別に研修するから安心しなさい」

「そんな……だって、ペアの戦闘研修も近いのに……」


最初の研修すら済んでないやつと組んで、魔物と戦えと?



(レイジュラと組んでたら、楽だったのに)


オレはぎりぎりと歯ぎしりしたいくらいの心境。



「まぁそう言うな。

その辺は考慮するから」


じいさんは余裕の表情で、どっかりと椅子に腰掛けると、長い白ヒゲを指先でくるくるともてあそんだ。
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