月の雫 -君と歩む彼方への道-
――何もない。


空、荒地、草原、山。


別に面白くもない風景だ。



こいつはそれを毎日毎日飽きもせず、じっと見てる。


一体、何を思って、何を見てる?




オレはふと思いついて、シルヴァイラのそんな、繊細で美しい横顔に話しかけた。


「なぁ、シルヴァイラ。

心を読まれないように壁を作るやり方、教えてくれないか?」


シルヴァイラが、ちらりと横目でオレを見上げた。

いつもながら、興味なさげな視線。
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