月の雫 -君と歩む彼方への道-
「目を閉じて集中しろ。

余計なことを考えるな」


冷たい声がオレの思いをびしりとさえぎる。



あ、オレの思考なんてお見通しなのか。


(恥ずかしすぎるぞ、おい)


女だと意識してしまったのがバレただなんて。



「集中しろと言ってるだろ。

それでも魔道士の卵か」


とげとげしい声でたしなめられる。


(はいはい)


オレは肩をすくめて、額の一点に意識を集中した。
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