叶恋~カナコイ~
「桜井、今日はもう遅いから帰ろっか?」
え…もう終わり?
あんまり、教えて貰ってない…むしろ…
私…橘くんに全然、アタック出来てないよ…。
「そんな寂しそうな顔すんなって」
橘くんは私の顔を見て、笑った。
「…えっ…あっ…そんな顔してたかな…?」
「うん、してた」
「……」
私は、今日で橘くんとこんな会話が出来るのは最後だと思っていると、寂しくてたまらなかった。
「桜井…また明日も、ずっと放課後は一緒に勉強しよう」
「……えっっ?」
「そうしたら、寂しくないだろ?」
「うんっ!ありがとう!」
恥ずかったけれど、嬉しさのあまり、素直に喜んだ。