叶恋~カナコイ~
あれから数日、私たちは毎日のように第3教室で、内緒の勉強会を開いていた。
「もうそろそろ、夏休みだね」
「うんっ。…でもその前に夏合宿があるよね」
「…あぁ、たしかにあったね」
私の学校では、夏休みの前に"勉強を集中的にしよう"という2泊3日の夏合宿が今年から始まった。
恐らく、キャンプ場みたいな場所で、同学年のみんなが勉強をしながら過ごす…という企画なのだろう。
私はイベント事が大好きだった。
何故なら、橘くんと近付けるチャンスだと思っているから。
だけど今までの行事でも近付けた試しがない。
だから、今度こそ…
高校生活最後の年だから
頑張れる気がするの。
「桜井…?何か考え事?」
あの日から…
一度も橘くんに触れられてないし、もちろん触れてない。
橘くんは、やっぱり私なんか眼中にもない女なのかな…。
橘くん…
触れたいよぉ…