天使のような微笑で
 翌日。

 事務所でマネージャーと今度のTV番組について打ち合わせをした。
 
 その帰り、別室で打ち合わせをしていたアイドルグループの「DRY」のメンバー「シュウ」と会った。

 10歳年下のシュウ。
 だけど芸能界入りが早い彼は俺の先輩。

 噂で一般人と付き合っていると聞いた。
 ちょっと気になって声をかけた。

「あのさ・・・」

 何て切り出して良いのか分からず声をかけたのに黙り込む。
 
 そんな俺にシュウが眉間にシワを寄せる。

「CD聞いてますよ。すっごいカッコいいじゃないっすか」

 俺が年上だという事もあり、事務所の後輩なのに敬語を使ってくる。

「うん。ありがとう」
 
 年上なのに俺の方がガキっぽい。

 うつむいたままの俺にシュウの眉間は更に深くなる。

「時間ありますか?」

 顔を上げるとニット帽を目深にかぶり、マフラーをまいて口元を隠しているシュウ。

「お茶でもしませんか?」

 誘われた。

 俺も慌てて黒ぶちダテメガネをかけ、シュウの後について行った。
< 14 / 69 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop