天使のような微笑で
「あんな詞を書いてて自分の気持ちが分からないってマジ恋愛した事ないんすか?確かに顔も名前も知らないかもしれませんよ?けど、何か心に響くものがあったんじゃないんすか?その子のおかげで頑張ってこれたんじゃないんすか?それって、他のファンの子達がくれる沢山の言葉よりも特別に思えたって事でしょ?特別な感情があるって事ですよね?」

 物静かで年齢よりも大人びていて、何事にも熱くならないヤツだと思っていた。
 それなのに、今は熱く語っている。
 仕事以外の話。
 それも恋愛話だ。

 女を軽くあしらって適当に遊んでいる男かと思っていたのに。

 意外だった。

「俺の彼女。昔の幼馴染なんすよ。ずっと忘れた事なくて。芸能界に入ったのは単なる気まぐれなんすけど、売れる様になってTVも沢山出る様になった時、もしかしてどこかで見ててくれるんじゃないかって思った。そしたら、頑張れたんですよ。けど、彼女、俺の事なんてすっかり忘れちゃってるんすよ。ひどいっすよね?」
 
 口角を上げ寂しそうに笑うシュウ。
 けど、目は幸せそうに輝いていた。
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