天使のような微笑で
 イベントは無事終了した。
 
 短い時間だったけど、充実した。
 けど、俺の本当のイベントは深夜だ。

 名前も住んでいる場所も定かではない彼女と本当に会えるのだろうか?

 住んでいる場所が分かれば直接会いに行かれるのに。

 車で迎えに行きたくても、彼女が住んでいる場所を教えてくれるのか疑問。
 それに、俺は正体を明かしたのに、まだ彼女は名前を教えてくれない。

 やっぱり疑っているのだろうか?

 帰りの車内。
 流れる景色を眺めながら、どんどんテンション下がってくる。
 考えすぎは良くないな。

 何も考えずぶつかっていく事が出来ないのは、俺が年を重ねたせいなのか?
 今までの経験がそうさせているのか・・・。
 それとも、立場なんて関係ないとか思っても、俺自身、実はものすごく気にしてる?

 車が都内に近づくにつれ、緊張と不安が膨らみはじめて、胸が苦しくなってきた。

 
 ポジティブに・・・ポジティブに。
 俺は彼女の事好きなんだから。
 突き進むしかないんだ。
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