天使のような微笑で
 事務所に戻り、今後の予定を確認する。
 
 太陽はビルの陰に隠れ、そろそろ夜も近づいてくる。
 俺は車に乗り、事務所から出る。
 緊張で押しつぶされそうで、とてもじゃないけど一人では居られない。

 曲作りをしているであろうバンドのメンバーに連絡を取り、気晴らしに買い物と食事に誘った。


 自分の車にメンバーの一人を乗せ、原宿へ向かった。
 
 買い物をしていてもご飯を食べていても、俺の頭の中では彼女と会うためのシミュレーションをずっとしている。
 
 時々、会話が途切れる。
 夢中になって、今後のバンド活動について熱く語っているメンバーが怪訝そうな顔で俺を見つめる。

 ハッと我に返り

「何の話だっけ?」

 と聞くと

「これで何度目?」

 と大きくため息つかれた。
 呆れられても仕方ないか・・・。

 ごめんね・・・。


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