唄を聞かせて
たっくんが消えたのは、3学期になってすぐのことだった。


冬休みが明け、2日経ち、5日経ち、1週間経っても、彼は姿を見せなかった。


それをいぶかしんだ誰かがメールや電話をしても、一切通じない。

家へ行っても、返事がない。

いよいよこれはおかしいぞ、ということになり担任に問い詰めても、「連絡が取れない」とのことだった。



静かに、でも確実に、たっくんの存在が失われていく教室。


1ヵ月も経つと、彼の名前を聞くことは滅多になくなっていた。





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