唄を聞かせて
三章
「あいつ、引っ越したらしいよ」
そう教えてくれたのは、たっくんと小中高と一緒だという高橋君だった。
「あいつんち、親父さんの会社が倒産したらしくてさ、突然出て行っちまったみたい」
「俺も噂で聞いただけなんだけど」と、そう話す彼の表情は、
何故直接教えてくれなかったのか、という非難の色と、自分の無力さを悟ってしまった色とが混ざった、
とても悩ましげなものだった。
「仕方無い」「どうしようもない」そんな言葉で割り切れたら、私たちはどんなに楽だったか。
突然失うには、彼の存在は大きすぎた。
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そう教えてくれたのは、たっくんと小中高と一緒だという高橋君だった。
「あいつんち、親父さんの会社が倒産したらしくてさ、突然出て行っちまったみたい」
「俺も噂で聞いただけなんだけど」と、そう話す彼の表情は、
何故直接教えてくれなかったのか、という非難の色と、自分の無力さを悟ってしまった色とが混ざった、
とても悩ましげなものだった。
「仕方無い」「どうしようもない」そんな言葉で割り切れたら、私たちはどんなに楽だったか。
突然失うには、彼の存在は大きすぎた。
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