唄を聞かせて
その手紙は本に挟まれてた。

誰かに先に読まれたらどうするつもりだ、ってくらい無防備な場所に。


たっくんは馬鹿だ。

こんな手紙を残しておきながら忘れろなんて、そんなの無理に決まってる。

それともこれが彼の作戦だったのかな?

私の中から消えないようにするための作戦。

それなら成功だよ。

一生忘れられそうにない。





沈む夕日をバックに、

私は手紙を抱えて声を殺して静かに泣いた。






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